「陽太」


「何だよっ」


「まおと俺が話していたこと、全部記憶から“抹消(マッショウ)”しろ。
――― じゃあ、俺は寝るわ」


やべー、言うのを忘れるとこだった。

まおとの会話を抹消させておかなくては、今後。 俺が、からかわれそうだ。


「忘れるなんて、出来るわけねーだろっ」


「消せっ! 今後、一切思い出すな」


なんだかこれ以上、陽太と話していたら終わりが見えない。


これは、俺が強制的に終わらすしか方法が無い。



「樹くーん!」


「知らない」


布団の中に潜り込んだ。


もう、俺は寝るから。


少し冷たい布団が気持ちいい。


まだ、俺の体は覚えている。 まおが俺の肩に頭を置いた時のまおの暖かさ。

まおを抱きしめた時の、あの暖かさ。


まおが俺の中に、まだいるような感じだ。


まおを思い浮かべ、夢の世界へ旅立った。