「…… ダメ?」


顔を上げて、聞いてみた。


ドアの前って事と、陽太くんが眠っている…… と言うことで、部屋は全体的に暗い。

その暗がりの中でも、いっくんの目は、しっかりと捕える。


正直言うと……、春休みだから、ヒマなんだよね。


いくら優ちゃんやリカちゃんと遊ぶ約束をしていても、ほんの数日。


結局、春休みはほとんどが家で過ごすようになるんだよね。

だったら…… いっくんの買い物に着いていこうかと。


「ついて来たら、貰う時の楽しみが無くなるぞ? それでもいいのか?」


「いいよ。 だって、選ぶのとか楽しいから」


食べるのも楽しくて好きだけど、選ぶのも好き。


ショーケースに入っているケーキがキラキラしていて、見ているだけで幸せな気分になる。


コンビニとかで売っているケーキだって、ケーキ屋さんのショーケースに入れてもらったら、シンデレラのように変身するはず。


「じゃあさ、こうしないか?」


「???」