――― Itsuki.


「スゥー スゥー」


静かな寝息が聞こえる。


「まお?」


「………」



声を掛けても…… 反応無し。


完璧、夢の世界だな。


まおのベットから離れ、陽太たちが固まっている方に近付く。



「おっ、樹。 お疲れー」


マジ疲れた。
なんで俺がまおを寝かせないといけないんだ。


「ねー、前田くん。 まおの喜びそうなのって決まった?」


愛川……
すぐ近くではまおが寝ているのに、なんつーことを言うんだ。


まあ、俺が“この部屋”にいるのだって、まおの事なんだけど。


「やっぱアイツはケーキとかの食い物だな」


「ふーん、そうだよね」


まおは大抵、食い物を与えれば喜ぶ。

特に。 ケーキとは喜んで食べる。


食べられるなら何でもOKなんだよな。