いっくんはいつも言ってくれる。


“――― ゆっくりでいい”

“――― 少しずつ意識してくれればいい”



いっくんは、あたしを絶対に急がせない。

あたしのペースに合わせてくれる。


本当なら、いっくんは自分のペースに乗せたいと思うのに……。



「まお、どうした? ずーっと俺なんて見て」


「いっくんって……。 かっこいいね」


「それはどーもっ」


「…… 優しいし」


「何が言いたいんだよっ」


「言いたかっただけ」



今は、こうやって。

いっくんの隣にいることが幸せなのかも。


これから先……。

毎日いっくんと過ごしていくと、あたしは本気でいっくんを好きになる。


今だって……。

隣にいるだけで、胸が早く打ち付けている。



それは、まるで……。

メロディーを奏でているよう。