ボソッと呟くと、一瞬のん君が眉を下げて困った顔をした。
そして前を向くと、欠伸をしながら言った。
「何か、昨日からバイト始めたんだって」
え……?
バイト?
え、昨日??
あたしは咄嗟にのん君のカーディガンを引っ張る。
「何それ!?あたし、聞いてない」
「うん。俺も聞いてない」
のん君の言葉に大声を出すあたしを見てのん君は少し驚いたらしく苦笑いしている。
それに気付いたあたしは、手を放して俯いた。
「なんのバイト?」
そう聞いてみると、のん君は空を見上げて頬を掻くと考え込む。
「んーとね。確かファミレスって言ってたかな」
ファミレス……。
確かにあたし達は、何でも話すって仲じゃないけどさ。
バイトしたいとか。
面接受かったとか。
普通に話しそうな事なのに……な。
これじゃまるで……。
「っちゃん……」
「りっちゃん!」
「え?」
我に返って顔を上げると、間近にのん君の顔。
少し驚いたけど、あたしは笑顔を見せた。
「何?」
そう聞いてみると、のん君はちょっとムッとした顔をした。
「呼んでも返事しないからー」
「あ、ごめん」
だって……。
こうやってのん君とは普通に会話して。
今までと変わらないのに。
聖だけ……。
他人みたいじゃん。
少しシュンとしながらも、ムーッとしているのん君をふと見てあたしは眉をピクッとさせた。

