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傷口を押さえながら、もう片方の腕を使い アイリは這いつくばっりながら、前へ進んだ。

ズリ ズ リ...


部屋中真っ赤に染め上げ、鉄錆の匂いを充満させながら。


近くの椅子を、やっとのコトで掴むと 腕に力を込めた。

「ぅ...ぐ、っ」


生暖かいドロっとした液体が、傷口から溢れるのを感じながら、やっと立ち上がるコトが出来た。

向かう場所は...そう決まってる。



「リュナちゃん、」

アイリにだって、役目があるちゃんと...

コノ世界を、――――と――――以外の存在に左右されないように。どちらかのバランスが崩れないように、調和を保つ役目。