初めはテレビで見た宮古島の民宿に行って見たいと考えて調べ始めたのが、何の拍子かいつのまにか石垣島行きに変わり、忙しい仕事の合間に飛行機や宿泊先を予約したところで力尽きた。
それで、石垣島に行ってからのことはそうすべてをきっちり準備しなくてもいいや、となった。

それに今回は気ままな一人旅。

そんな気楽さも手伝っていた。
行ってから現地で計画を立てても別に問題ない。

そんなわけで、予定がまだ何にも決まっていない三日目のためにレンタカー屋のパンフレットは見てみよう、と私は手を伸ばした。

確か二つか三つくらいしかなかったと思う。

その中で一番安かったのがラッキーモータースだった。
一応このパンフレットだけ持って行っておいて、明日の気分でまた決めよう。
そう思って私はラッキーモータースのパンフレットを取った。

真黄色のパンフレット。
海辺で背を向ける、焼けた肌の女性が刷られている。
その女性の風貌は一世代前の雰囲気で、パラソルと水着もなんだか昔風なデザイン。

そんなパンフレットをリュックに入れ、私は西表島へ向かう連絡船に乗った。

西表島では、ホテル行きのバスをまたまた待った。

のんびりと待つ、なんて、ここ長い間したことがないので、どうしていいか分からない。

待合所から外に出てちょっと散歩したり、石段に座ったりして、のんびり待つ、という気分になろうとした。
船着場の前はだだっぴろい砂利の広場になっていて、やがてバスが何台か来て、止まった。
ハイビスカス柄のシャツを着たおじさんがバスから降りてきて、団体客を誘導する案内板を立てた。
大きな旅行会社のツアーのお客さんを乗せるようだ。
そのあと、私の座っている石段の前あたりに立っている。

なんとなく目が合って、こんにちわーと話が始まった。