あかねいろ【BL短編集】






「兵、助」


「あー?」


「……が、と」


「んだよ聞こえねーっての、
 何だよ清士郎」


俺を覗き込むように見てくる兵助にギョッとして、再び顔が赤くなっているのが自分でもわかった。


「?清士郎?」


「あ、その、」


「ん?」


「あ、ありがとうって言ってんだよ、何回言わすんだこのバカタレ!」


「え、バ……は?」


「お、お前なんて
 雪に埋まって死んじまえ!」




困惑する兵助を置き去りにして、俺は全力疾走で奴の元から離れた。

マフラーは、落ちないようにしっかりと握りしめたまま。




(あぁもう、
 誰か素直さを俺にも分けてくれ!!)






 END

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