あかねいろ【BL短編集】




「寒くなんかねーよ、
 俺はお前とは違って……」

「はいはい、わかったから。
 修行が足りねーんだろ?
 もう良いからとりあえずそれ、着けてろ」


笑顔の兵助と目が合って、俺は反射的に顔を背けてしまった。

体は冷え切っているというのに、顔だけが妙に熱くてたまらない。




「礼なんて、言わないからな……」


あぁ、また可愛げのないことを言ってしまった。

そう思ったが、時すでに遅し。


「端(はな)から期待してねーよ。
 良いからそれちゃんと着けてろ、本当に風邪引くぞ清士郎」

「…………」




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