「寒くなんかねーよ、 俺はお前とは違って……」 「はいはい、わかったから。 修行が足りねーんだろ? もう良いからとりあえずそれ、着けてろ」 笑顔の兵助と目が合って、俺は反射的に顔を背けてしまった。 体は冷え切っているというのに、顔だけが妙に熱くてたまらない。 「礼なんて、言わないからな……」 あぁ、また可愛げのないことを言ってしまった。 そう思ったが、時すでに遅し。 「端(はな)から期待してねーよ。 良いからそれちゃんと着けてろ、本当に風邪引くぞ清士郎」 「…………」 .