怒らせている原因が俺、斉藤浩介にあることはわかっていた。 頭を下げて素直に謝る。 ほんの数分前のこと。 昼食後、彼に勉強を教えてもらう約束をしていたのにすぐに向かわず、友達と談笑してしまった。 本当なら寮の最上階にある立石先輩の部屋で待ち合わせるはずだったのに待たせてしまい、食堂まで足を運ばせてしまったのだ。 はぁ、とため息が頭上から聞こえる。 手を振り払われるだろうか。 「……もう良い。顔を上げろ」 .