清士郎が出てきたら、抱きつくくらいは許してもらえるだろうか。

それから二人で手を繋いで、ゆっくり歩いて帰ろう。

二人で一つのマフラーにくるまって、他愛のない話をしながら。


家に着いたら、清士郎が好きなチョコレートケーキを一緒に食べよう。

イチゴは俺の大好物だけど、今日くらいは特別に、アイツに譲ってやっても良い。

俺がそんなこと言ったら、きっとめちゃくちゃ驚くんだろうな。




色々考えている内に、自然と口元が緩んでしまった。


(早く、会いてぇな)


さっき会ったばかりなのにこんな風に思う俺は、やっぱり相当重症らしい。






――――出てきた瞬間抱きついたら、馬鹿野郎!と怒鳴られた。


――――でもそっと抱き締め返してくれたお前の手が、愛しくて仕方なかった。






 END

(そんな、日常)




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