美雪は恐る恐る鍋の中を覗き込む、すると、鍋の半分に木製の落とし蓋(ぶた)が見えた。



濃い褐色の液体が寸胴の直径よりも小さいその落とし蓋の周りから沸々と踊っていた。



美雪は一瞬どうしようか迷ったが、手は落とし蓋の方へ向かった。



ゆっくりと落とし蓋を上げる。



湯気の量が増え、中が良く見えない。


少しすると湯気が収まり、鍋の中の様子が見えてきた。



濃い褐色の液体が染み込んだ骨付き肉が見えた。



「スペアリブ?」
美雪はボソッとつぶやいた。