優しい雨

そんな不便さもあり、一般的な患者さんは一刻も早く退院することを望んでいる様だが、修一は退院したいと口にすることはほとんどなかった。

家に戻っても病気になる前のように生活できる自信がないからだろうか?



半年前に一度、修一は少し良くなって、外泊を何度かしたことがあった。

しかし外泊の度に私が仕事を休んで側に付いているわけには行かず、修一は独りきりのマンションで過ごす事も多かった。

私が留守の間に家のことをしようとした修一は、あまりにも自分が何も出来なくなっている現実に愕然としてしまった。

そして将来に対する不安ばかりが頭をもたげ、自宅なのに安心して居る事が出来なくなり、調子を崩して外泊は打ち切りとなった。

結局のところ、外泊はしたものの退院には全く繋がらず、余計に具合が悪くなって病院に戻るという結果に終わってしまった。