優しい雨

「内村君のうちに行ってみたい。もっと一緒に飲みたいよ」

内村君は笑っていた。

「うちは遠いよ。それなら加藤さんの家に送って行くよ」

「駄目よ、女一人のマンションに男の人を連れてはいけないよ」

「それなら北品川のどこかのお店でもう少し飲もうか?」

「日曜だからもう終わっちゃう。内村君のうちに行ってみたい」

自分でもすごく我が儘な事を言っているのは分かっている。下手に絡むともう一緒に飲んで貰えなくなるかもしれない。

そんな不安を感じながらも楽しかった時間の反動なのか、寂しくて言わずにはいられない。

「俺の部屋か・・・う~ん、せっかく雰囲気のいい所で飲んだのに台無しになるよ」

「大丈夫だよ」

私が彼の腕に自分の腕を絡めると、彼は一瞬困惑したような顔をしたが、またすぐに笑顔に戻った。

そして私と腕を組んだままホームを歩き出した。