優しい雨

「内村君じゃない？」

私の口から何の躊躇いもなく自然に言葉が出た。

それほど彼の外見は高校の時と変わっていなかった。

「えっ！」

急に話しかけられた男性は少し驚いたように振り向いた。

そして「あれ？えっと・・・加藤さん？」と私の旧姓を言った。

やっぱり内村君だ。

「そう、今は小泉なの。内村君はそうか、東京の大学行ったんだもんね。そのままこっちで就職したんだ」

「うん、そうだけど・・・いや奇遇だな。街の中で会うならまだしも、こんな外れの何にもないところで会うなんてさ。加藤さん、えっと・・・」