優しい雨

その日は午後五時頃、私は自宅マンションへ戻った。

鍵を開けて、多分寝ているだろう修一を気遣い、静かに玄関のドアを開いた。

そして雨に濡れた服を着替えようと、修一が寝ている元は二人の寝室だった部屋へ行った。

そっと襖を開けると、そこには修一がいつものように横たわっていた。

しかしいつもとは違う異様な空気を感じて、私は寝ている修一の傍へ近づいた。

だらしなく放り出された手足、異様に白い顔をした修一の口元には、泡が吹き出し乾きかけていた。

驚いてよろけた私には、たくさんの空の薬の分封袋が目に入った。

すぐに私は修一が二日前に病院から貰ってきた二週間分の薬を全て飲んでしまったことを悟った。