「夕凪?」



足を止めても振り返る事のない夕凪に、庵は訝しく思いながら呼びかける。



「それでも、人と同じようにオレたちだって生きてる。すべてが一緒じゃなくてもいいんだ、庵」



それは自分みたいな存在でも生きてていい、違う存在でもいいんだと、認めてくれたみたいで、庵の瞳からとどめなく涙が零れ落ちる。



夕凪がゆっくり振り返った。



「オレの国へ共に来ないか?会わせたい奴もいるし、この国で何があったのか――庵の話を聞かせてくれ」

「う゛ん」






青く澄んだ空だけが二人を見ていた。