「あの時は本当に倒れそうでしたもん」


日向さんに誘われた私は、バイトが終わる時間まで、ソワソワしていた


「姫野さん、チャンスだよ!」


神谷さんが私にウインクをした


「頑張って映画、誘います」


私はカウンターの中から奥に座る日向さんの後ろ斜めの姿を見ていた


ノートにせっせと書いている


あの時、チラリと見えたブーケの絵


鉛筆ならではの柔らかい線と濃淡


日向さん、美大生なのかな?