「何も無いじゃん。」

あたしは、木々の中を見渡しながら呟いた。

その時だった。
突然、足元がフワリと浮いた感覚になり、気付いた時には、尻餅を付いて倒れていた。

スコールのせいで泥に滑り、後ろに倒れたらしい。

「いったぁい!」

あたしは、お尻を摩った。
「もう。なんなの。」

あたしが起き上がろうとした時…

「夢!」

政樹がすごい声を出して、あたしの体を後ろにひいた。おかけで、デニムが泥まみれだ。

「何?遊ばないで…」

「あれ…」

引き攣った顔をした政樹の指を指す先には、竹で出来た矢が幾つも埋め込まれていた。