女子アンカーは最後で2周走る。


その間に奇跡が起きた。




パンッ!!




この音でハッとした。



あれ…え?



グラウンドのレーンを見ると、まだゴールを切っていない人が4人いた。


あれ…私、何位!?



「もぉーっ!!」



横から叫び声が聞こえてきた。


「何でよ!何で!?あんなに離れてたのに!」


…鈴ちゃん。

その後、結果がアナウンスで聞こえた。



私は2位だった。

2、3位のかたまりをゴールギリギリ手前で抜いたらしい。


「美緒ーっ!お前足速かったなぁ!やっぱ渚さんと練習しててよかったな!」


競技が終わり、私は自分の席に座ったとき、啓に後ろから頭をくしゃくしゃにされた。

それが嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

だから、正直に言ってしまった…。


「啓だって本気で走ってたからカッコよかったやん。」


「…。」


ピタリと啓の手が止まる。
…???



私が不思議に思って振り向こうとした時…

ぎゅ…


後ろから抱きつかれた。

く…苦しい。


でも幸せだった。



「はぁー…頑張ってよかった。」



冗談めかして言う啓に私は笑った。


「おーおーおー、なーに2人で勝手に盛り上がってんですか〜?」


「あっ、さっ君!?」


横を向くとさっ君とあきれ顔の奈々に笑かけの英二がいた。


…なんで英二笑ってるん?

と不思議そうに見ると、



「啓ー、悪かったって、2人の邪魔して。」


と言った。

じ…邪魔って…。


「んな拗ねた顔されると笑止まらないって!」


「…?」

啓…拗ねてんの!?


私はチラリと啓を見た。


「なんだよ。」


啓はよく見ると耳まで真っ赤だった。


「啓も美緒も大丈夫ー?顔真っ赤だよ?」

ため息混じりに笑うのは奈々。



私まで赤くなってんのか…。