愛のない世界

彩香は、首筋に温かいモノを感じた。


その時、もっと男の顔をよく見たいと思った。


抱き締める腕の力が少し緩んだ時、彩香は体を反転させ男の顔を見上げた。


男は、泣いていた。


彩香の首筋に当たった温かいモノは、男の涙だった。