意識を食われたとそれは観念した。
どうあがいても奴らの下から抜け出せないと、この業界に足を踏み入れた時から知っていた筈だった。
それでも、自分は真っ当な選択をしたのだと信じたかった。
目の前にあるものが投与された薬で段々と霞がかってくる。
もう、意志がない。
上がってくるのは黒く汚れた感覚と、人間が捨てた野獣の自由。
押さえ込まれた感情が、身体を駆け巡り自制心を無くし始めていた。
なにもかも失えば楽になる。
後は、せき止めてある理性を消せば良い。
苦しむこともなく、煩わしい聖者の戯れ言に耳を貸すこともなく、ただ、欲望のままに踊り狂えば良い。
捨ててしまえば、怯えることもない。
全てを無くして。
自分を捨て、権力も金も人間関係も無かったことにして、ただ、破壊を目的として生きる。
力はみなぎっているのだ。
人以上のものだ、自分はやれる。
小さな部屋の片隅で、震えているだけの人生とは決別するべきだ。
「もう少しね」
女の声に顔を上げる。
いや、目線だけを上げるがもう見えてはいない。
どうあがいても奴らの下から抜け出せないと、この業界に足を踏み入れた時から知っていた筈だった。
それでも、自分は真っ当な選択をしたのだと信じたかった。
目の前にあるものが投与された薬で段々と霞がかってくる。
もう、意志がない。
上がってくるのは黒く汚れた感覚と、人間が捨てた野獣の自由。
押さえ込まれた感情が、身体を駆け巡り自制心を無くし始めていた。
なにもかも失えば楽になる。
後は、せき止めてある理性を消せば良い。
苦しむこともなく、煩わしい聖者の戯れ言に耳を貸すこともなく、ただ、欲望のままに踊り狂えば良い。
捨ててしまえば、怯えることもない。
全てを無くして。
自分を捨て、権力も金も人間関係も無かったことにして、ただ、破壊を目的として生きる。
力はみなぎっているのだ。
人以上のものだ、自分はやれる。
小さな部屋の片隅で、震えているだけの人生とは決別するべきだ。
「もう少しね」
女の声に顔を上げる。
いや、目線だけを上げるがもう見えてはいない。