あれっ?黄色いタオルどこ入れたんだっけ?


おっかしいなぁ。


――――スッ!!


『痛っ!!!』


タオルを探し出そうと、カバンの中の大きめのサイドポケットに手を入れた時だった。


右手の中指が、“何か”によって切れたのを感じた。


「どした?」


先輩がしかめている私の顔を覗きこもうとしている。


『紙か何かに切れたみたいです。』


とっさに引き抜いた手を反対の手で抑えていた。


痛みの場所をゆっくりと見る。



見ると、濃い赤紫色の血液が、中指の腹から、じわりじわりと流れ出てきていた。


「大丈夫かっ!?」


先輩が、私の手をとり上に上げた。


――トクン…トクン…

――トクン…トクン…

頭の中は、
先輩の応急処置に対するものでもなくて、傷口の痛みによるものでもない……。

それは、生暖かくて手にまとわりつく血液。


――トクン…トクン…
――トクン…トクン…――


息が上手くできない。


「カバンに何が入ってんだよ!?
紙なんかでこんな簡単に切れないぞ!!」


動かない私をよそに、少し怒っているような声を出し、先輩がカバンの中を急いで見た。