「なあなあ、コウガ。ちょっとコレ、見てみろよ」

「ん?」

同じクラスの男子に声をかけられ、オレは顔を上げた。

アイフォーンをイヤホンに繋ぎ、ピアノソナタを聞きつつ昼寝をしていたオレは、背伸びをした。

美しくも繊細なピアノの曲は、眠気を誘うのにもってこいだった。

せっかく充実した昼寝をしていたのに…。

「見ろよって」

しつこく言ってきたヤツの手には、ケータイがある。

「分かったって。んで、このケータイが何?」

おっくうそうに言うと、ヤツはケータイを操作した。

すると画面が真っ暗になり、動画が流れ始めた。

薄暗いどこかの廃墟の中。

べチャべチャと音が鳴り響いている。

カメラで映しただろうその目線は、最初は廃墟の中を映す。

やがて音が強く、大きくなってきた。

そして―2人の人物が映った。

しかし顔や姿はハッキリとは映されていない。