「しっシキ…」

シキは不安そうな顔をしているコウガを見て、渋々刃を下ろした。

「そうそう♪ このままどこにでも行きなよ。姉さんの力にならないんなら、ボクはキミ達を巻き込まずに済むし」

「…本当に俺達には関わらないんだな?」

「うん。と言うか、興味ないから。じゃあね」

ヒラヒラ手を振るマノンは、闇に溶けて消えた。

静寂が訪れた時、コウガはシキの腕を掴んだ。

「シキ、オレを連れてって!」

「何を言い出すんだ? お前はこのまま元の生活に…」

「ムリ。アイツら死んだし、オレが疑われる。それに…オレはここに思い残すことなんて無いんだ」

切なく語るコウガを、シキは無言で見た。

「だからシキと生きたい。邪魔になったら、シキが喰い殺してよ」

「…そうだな。非常食用に、連れて行くのも悪くはないな」

シキはコウガの手を掴んだ。

「オレと来い。コウガ」

「…うん! シキ。キミとならどこまでも」