コウガとシキはマノンの影に包まれ、場所を移動した。

「ここは…」

「山の中、か?」

「そうだよ」

マノンの声に、2人は慌てて振り返った。

シキはマノンの顔を見て、警戒した。

「貴様っ、マノンか!」

刃を向けるシキに、マノンは笑顔を向ける。

「ヤダなー。命の恩人に、刃なんて向けないでよ? 大丈夫、ボクはキミ達を喰らうつもりは全然無いから」

「なら何故助けた?」

「強いて言うなら、姉さんへの嫌がらせ? 姉さん、いっつも澄ました顔してるからさ。たまには怒らせたくて」

楽しそうにクスクス笑うマノン。

「ああ、安心して良いよ。もう用は無いから、二人とも好きな所に行きなよ」

「信用できるか!」

「ん~。でもボクとやり合っても、シキ、キミは勝てないデショ? お互い体力のムダになるだけだよ」