「待たんかっ!」

マカは黒い剣を片手に持ち、夜の山の中を駆けていた。

「シキっ! いい加減、大人しくしろ! 貴様は逃げられんぞ!」

「ハッ! 誰がお前等なんぞに捕まるか!」

マカが赤眼になり、追いかけるのは男だ。

赤い髪に、赤い両眼の青年は黒づくめの服装をしており、片手には日本刀を持っている。

「お前は禁を犯した! 許されることではないと知りつつなっ!」

マカは地を蹴り、シキの背後から切り付けた!

しかしすぐに刀で防がれる。

「くっ…!」

「相変わらず人間臭い考え方だな、マカ。そんなんで本当に血族の当主なぞ務まるのか?」

「少なくとも貴様よりはマシだ!」

剣を押され、マカは後ろに下がった。

「俺の本能は知っているハズだ」

「知っていても理解は出来んな。少なくとも今の血族のやり方でも、満足は出来るはずだろう?」