私に恋を教えてくれてありがとう【上】


今はまるで犯罪者の忍び足。

ただ娘に会いに来ただけなのだから……

何の邪もないのだから、胸を張って歩けばいいではないか。


何度もそうやって、呪文のように……。


……コツッ……コツン……


ヒールの音が響けば響くほど、身が縮こまるのを感じ

度々、後に誰かいるのではと挙動不審になってしまう。


誰かの視線を感じるから??


当たり前だ、沢山の職員がいるのだから。