「就職するとね、最初の3ヶ月間を研修期間っていうんだ。
教育係りの先輩が面倒見てくれて仕事の仕方を教えてくれるんだけど。
新人は右も左もわからない中で、悔しい事や辞めたいって思う事、泣きたい事や逃げ出したい事をいぃ~ぱい経験するんだよ」
そこで一旦、話を区切ると昔の自分も思い出してるのか、誰かを思い出してるのか、牧瀬さんは少し遠い目で話を続けた。
「でも3ヶ月が過ぎる頃には大体の事がわかってきてる。
もちろん、まだまだ一人前なんかじゃないけどね。
新人が越えなきゃ行けない“山”みたいなもんだよ。
きっと、会社にとっても新人にとっても“見極め”の期間なんだ。
どういう人間か?とか、やっていけるかどうか?とか、続くかどうか?とかのね」