「…君は幸せ…だった…?」 雨音に掻き消されそうな菊地さんの小さな声が聞こえた。 でも…その言葉は私に言ってるようでそうじゃなかった。 きっと菊地さんの中にいる“誰か”に言ってるんだ。 だから… 「…えぇ、とても。」 そう笑顔で答えた。 私の笑おうとして作る笑顔は嘘くさいけど、きっと心からの自然にでる笑顔は本物だ。 そんな私の顔を見てフッて笑った菊地さんの初めて見た笑顔は…とても優しかった。 「…それなら…良かった」 そう言って菊地さんも空を見上げ、急に雨の中へ飛び出した。