それから40分ほど経つ頃、菊地さんがお帰りのようで社長室のドアが開いた。
出入り口の扉を開けてお客様がお帰りになるのを見送るのが作法らしく、私は扉の横に立ち菊地さんが下りてくるのを待った。
私の前まで来たので、扉を開け頭を下げると……なぜか菊地さんは立ち止まった。
不審に思い、少し顔を上げたら
「……今でも憎んでるか?」
すごく寂しい、切ない目をして聞いてくるから……ギュッて胸がしめつけられた。
「……え?」
「斎藤雅樹。
あんたを裏切って捨てた男の事、あんたは恨んでるか?」
意外な質問だった。

