明かりを落した客席の、前から2列目のボックス席。
薄暗くて顔まではわかんないけど、背が高くて着崩したYシャツに緩めたネクタイ姿。
やけに鋭い眼差しでこっちを見てる。
ただ突っ立ってるだけなのに、やたらと存在感を示す客。
その客を不思議に思いながらも、ポールダンスを踊ってた。
…あぁ、初めてきてどうしていいかわからないんだ…。
わけもわからず連れて来られた口だな。
普段なら客席を気にしたりしない。有象無象と思わなければ、こんな醜態曝して踊れない。
なのに、その男が放つ存在感やオーラに引きつけられずにはいられなかった。