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夏の夜明けは早い。
辺りがうっすら明るくなってきた頃、ようやく残り20本になってゴールが見えてきた。
あと少し…。
気を張ってるからか興奮してるからか、全然眠くなかった。
誰もしゃべらず、和紙のこすれる音しかしない静かな空間に…
「なんとかなりそうだな。
カメラの準備しといてやるよ」
武藤さんの声が響いた。
みんなが声のする方を見たら武藤さんが立ってて、社長は急いで立ち上がって…
「ありがとうございますっ!」
深々と頭を下げた。
だから、私と蓮司さんも同じように並んで頭を下げた。