脱衣所に出ると、家が静まり返っているのがわかる。


一応母親がリビングにいるが、先ほどまで上と下を慌しく駆け巡っていたちさとがいなくなったからだ。


今日は準備時間が珍しく逆転し、僕を待ちかねたちさとが"待ち合わせごっこ"を提案してきた。


普段同じ家にいる僕らは、待ち合わせの必要など無かったから、新鮮なのだろう。


頭の上に小さな豆電球を灯すと、僕が準備を終える前にと、髪と化粧を素早く直していた。


おそらく、もう公園へと向かっているのだろう。


僕ものんびりしてられない。



バスタオルで髪を掻き乱す。


本当は水浴びしてのんきに乾燥してる暇などないのだが、気持ちを落ち着ける為にも、どうしても必要だった。


これから、神経をすり減らすような事が起きるかもしれないから。


いや、今日に限って人目があるかもしれないし、状況によりけりだけど。


こういった不確実性が、精神的に既にキツイ。



これから僕は、二度目の殺人をする。