「それ何の本?」 いつの間にか席に戻ってきた佳代さんに尋ねられる。 「……画家の本です」 「画集みたいな?」 「ある画家の人生や価値観、絵画の解説がされた本です」 「へぇ……雛って絵好きなんだ」 好きって言うのかな。 これはお母さんが尊敬してた画家さんの本だから読んでるだけだし。 興味はある。 でも買うほど好きだったりはしない。 最近は描くこともない。 …昔はよく描いたんだけどなぁ。 先生が来たので、栞を挟んで本を閉じた。