俺の周りは同じ中学から来た者同士で話が盛り上がっていたが、一人田舎から出てきた俺には同じ中学から来た奴なんかいるはずもなく、自分の席に気まずく座っていた。
「なあ、お前同じ中学の奴とかいないの?」
 いきなり声をかけられ、驚いて横を見ると、三人の男の子がたっていた。
「えっ……あぁ、俺一人で田舎から出てきたから」
 へぇ、と三人は同時に言った。
 茶髪にピアスの工藤宏樹と男の子にしては少し小柄で可愛い感じの岩谷司、眼鏡でいかにもスーツが似合いそうな、知的な感じの保紫祐輔。
 この三人は市内のそれぞれ別の中学から来たと言っていた。
 教室に来てから一人でいる俺が気になって声をかけたらしい。
「俺達もこのクラスに知り合いいなくてさ。それで似たような奴探してたんだよ」
 正直、誰も知り合いのいない学校で不安だったから、声をかけられて嬉しかった。「俺、金谷優希。よろしく」
 俺は軽く自己紹介して、三人といろいろ話した。