「ねぇ沙希聞いてるー?」

ぼーっとしながら私は、親友の

真央に呼ばれる声で我に帰った。

真央とあたしは、4月に入った

高校を翌年の3月には、退学して

今は、バイトをしながら親に迷惑かけない
ように働いている。

「沙希は、彼氏いらないの?」

ふと真央は、あたしにその話を振ってきた。
「いや〜つくるつもりは、あるんだけど」

あたしは、ふざけたように自分の部屋に

ある鳥のぬいぐるみを抱きしめた。

「だよね〜やっぱ欲しいよね」

真央は、あたしの目の前にあった

大きな抱き枕に抱き付きながら言った。

あたしは、もう男と絡むのは、嫌だ

男なんかみんな自分勝手で

自分の欲望のためなら自分より弱い

ものだって傷つける。

あたしの中の男と言う創造物は、

今までのあたしの経験から

こういう考えかたにしていった。

もう男とは、一緒にいたくない。

自分を見失うから。

自分がどんどん醜くなるから。

男のためにすることすべてが

いつしかあたしにとって恥と

思えるようになっていった。