「え?」


「いいん?」


「ホンマに?」


あまりにもあっさりと望む答えが返って来たので不安になってしまって、私たちは半信半疑に聞き返してしまう。


「ハイ。大丈夫です。よろしくお願いします。」そう言って瑛治は静かに笑った。…たぶん。


それから約1ヶ月間、放課後毎日瑛治には萌とマンツーでドラムの基礎的な事を練習してもらった。


とりあえずはフォービートの曲を1曲。5月末にある壮行会になんとか間に合うように。


瑛治は飲み込みが早かった。後から判ったことだけれど、彼も理数科で勉強はそこそこ出来る方だった様で、1度教えた事を忘れることはなかったし何より向上心があったから自主練にも熱心に取り組んでくれた。


時間も人数も十分にない私達にとっては、本当にありがたかった。


なんとか無事壮行会が済むと梅雨に入った―。