「み、のる…?」
見渡す限りの海。ザーッと波の音が耳にやけに響いてくる。
先程までいた稔の姿はなく、あたしの目に映るものは海と砂浜と石だけ。
「稔…ッ?!」
あれからどれくらい立ち尽くしていたのか。
5分もたってないかもしれない。1時間たっていたかもしれない。
ハッと気づいたとき、そこに稔はいなかった。
「消えちゃったの…?」
稔がいるはずのないのにあたしは問いかける。
………
そんな問いに返事は返ってこなくて。
消え、ちゃったんだ…
頭で理解した瞬間、ガクッと膝から崩れおちた。膝に鈍い痛みが走る。
あぁ…また、貝踏んだかな…
なんて思いつつも、あたしは膝を退けようとしない。退ける余裕なんて微塵もなかった。