ハルカは、まだ岸辺に近い浅い場所で、腰から上の体を水面で傾けバランスを取っていた。
「だ、大丈夫ッ!足すべっただけだよ?」
俺を見るのも恥ずかしいのか、その姿は後ろ向きで。
その方向を保って、泉へ歩を進めた為に足を捕られたのだろう。
俺はホッと胸を撫で下ろし、その可愛らしい光景に苦笑した。
木々の緑の光と、
岸辺の赤いランプに照らされた
白く透き通る華奢な背中が、
慌てて水に浸かる。
俺はその光景を見つめていた事に、はっとなり反射的に背中を向けた。
「…気をつけろよ?」
その際に、慌ただしい水音がたってしまったのを、ハルカは聞き逃さなかった。
「キース、今見たでしょ!?」
そう大きな声を出した。
「…いや?」
「嘘ッ!絶対見た!」
………。
「…一瞬な?」
俺は、隠し切れずに白状した。
『ハルカが叫ぶから心配したんじゃんかッ!』
幸いにも、コンが味方に付いてくれた。
コンは、スイスイとハルカの元に泳いでいってしまった。
「…ぅ。そうだけどぉ~!」
恥ずかしい、と繰り返すハルカに、
「悪かったよ…。」
と苦笑しながら謝った。