記憶 ―夢幻の森―


俺は、体力のある方だと思う。

なのに、なぜだ。

歩く度に息があがる。
疲れるには早すぎるだろう?

しかし、前の2人とは距離が開き出していた。



『キース、もっと早く歩いてくれよ…』

『時間に遅れちゃう。タイミングが大事なんだから!』


……え…?

先程より少し大人びた2人の声。
男の子と女の子は、
少年と少女になっていた。

成長していた。


なぜだ…?

俺は自分の体を見た。
目を疑った。

先程まで長身だった俺の体は、小さくなっていたのだ。
幼児…ぐらいの頃だろうか?


「……な…、!?」

2人に訪ねようと口を開いても、うまく舌は回らない。

発した声も細く幼く、それに自分で驚く。


時間が、
……遡ったのか!?


『急げっ、キース!頑張れ。走れ!』

『頑張って…!』

違う。
前でそう俺を励ます2人の少年少女は、大人へと姿を変えていく。

俺は言われたままに、この短い手足を懸命に動かし走った。
すぐに息があがる。

こんなわけの分からん所に置いていかれるわけにはいかない。

そう必死に2人を追いかけていると、


――グン…

と、走る速度が増した。

手足が成長したんだ。