記憶 ―夢幻の森―


『知ってはいるが、…なぜ知りたい?願いとは何だ?』

じぃさんは、柔らかくも厳しく俺に問う。
『森の主』なのだという事を思い出させた。

「………。」


『お前さんに限って、…ないとは思うが。私欲の為なのであれば教えん。』

「………。」

私欲、と言えばそうなのかもな…。


俺の願い、俺の償い。

『ハルカを救いたい』

そう格好つけて、
自分の罪を消したいだけなのかもしれない。


黙る俺の代わりに、ハルカがじぃさんに言った。


「おじぃちゃん、教えてあげて!…キースは、帰りたいんだよ!」

「…!?」

思いもよらないハルカの言葉に、俺は目を丸くして彼女を見つめた。


「…自分の世界に、きっと帰りたいんだ…。その方法を知りたいんだよ…」

ハルカは下を向き、声を震わせて、唇を噛み締める。

涙をその瞳に溜めながら、必死に零れ落ちるのを耐えていた。


「…ハルカ?」

「…せっかく、お友達になれたのに…。帰っちゃうの?嫌だ…」

コンが異変に気が付き、ハルカの顔の位置まで翼を羽ばたかせた。


「あたし…また、独りだ…。…でも、きっとキースにはキースの世界で待ってるお友達がいるんだよ?だから…」