「キース君は、そんな事でハルカを嫌わないよ?」
セイジさんは、「ねぇ?」と俺に確認を取った。
「そうよぉ~!キースちゃんは、そんな子じゃないわ~!」
ユリネさんもキッチンから顔を覗かせる。
「…本当…?」
「あぁ…、もちろん。」
俺は今にも泣き出しそうなハルカの髪を撫で、笑いかけた。
『俺も、キースなら平気だと思うぞぉ?ちょっとムカつくけどなッ!』
コンもまた、ハルカの視線の先である、俺の膝にぴょんと乗った。
ハルカは一つ頷くと、意を決したように言った。
「あたし、妖精のくせに…、羽根が二つ無いの。」
ハルカは俺の反応を恐る恐る待っている。
俺は正直、それがこの世界でどういう事を表すのか、あまり理解していない。
「ハルカは、ハルカだ。友達だよ…?」
俺がそう目を細めると、本当に嬉しそうに笑顔をこぼした。
セイジさんが、俺の気持ちを察したかのように言葉を補足する。
それを、ハルカは小瓶の露を飲みながら、静かに聞いていた。