「おや…、コンが見知らぬ少年になついている。珍しいなぁ…、ハルカ。」
男の声がした。
祭壇の隅の小さな扉から顔を覗かせると、男は目を細めてハルカに同意を求めた。
「パパッ!…そうでしょ?」
『――別に、なついてねぇぞッ!!』
コンはそう言い切った。
少しは仲良くなれた気がしたのだが、まぁいい…。
動物に敵対視されるのは慣れている。
ハルカの父親は、温厚な性格が表に滲み出たかのような、柔らかい印象を受ける。
白い上下の服がこちらに近付く度、違う色の光を映した。
「おかえり。彼は?」
父親がハルカに聞く。
俺はペコリと頭を下げた。
「あれ…、君は…人間なんだね?珍しいお客さんだね。」
彼の何一つ変わらぬ態度に、俺は少し驚いていた。
俺に怯える他の住民とは違う、彼の温かい態度に心に張り詰めていたものが少し和らぐ。
「彼は、キース。お花畑で会ったの!記憶喪失なんだって。だから連れてきちゃった!」
ハルカは俺の腕に手を絡ませ、
「お友達になったの!」
と、嬉しそうに笑った。

