「…すごいな…。」
俺は、里の入り口で立ち止まり目の前の光景に静かに驚きの声をあげる。
どうもこの世界に来てから驚いてばかりだ。
里を入ってすぐに白いレンガ造りの広場らしき場所。
中心にある噴水の台座には青い硝子のランプが並ぶ。
頭上に張り巡らされた綱には、橙色のランプが幾つも点々とある。
それらは、頭上から風に揺れて俺たちを照らした。
広場から続く三本の道には、黄色のランプがある。
人を誘導するかのように、間隔をあけて道の脇に存在していた。
家々には一軒一軒、玄関先に様々な色や形をしたランプがまるで競い合うようにある。
紫、橙、赤、水色…
主張し合うものの、お互いに邪魔はし合わない。
光の質は人工的ではあるが、先程の花畑にいるようだった。
「綺麗でしょ?」
ハルカが横で笑った。
「あぁ…」
「あ、あれ見て?」
ハルカが里の奥を指差す。
三本の中心の道の先。
家々の屋根の上に、巨大な建造物が見えた。
建物自体が何色にも光り輝く。
他の家に比べれば一目瞭然、特別な建物だという事が分かる。