「…いいか、僕。この世界の中心にはな?樹海と呼ばれる大きな森があるんだ…。」

「じゅかい…?」


「ん~、木がいっぱいな所な?そこの中に何があるか、誰も知らないんだ。そこに迷い込んで帰って来た人間が、そうゆう伝説を多く残している。…怪しいだろ?」

「うんっ…」


僕は、わくわくしてお兄さんの話の続きを待った。


「…この世界の神様の話とか、妖精の魔法…。それから、精霊に仕える風の話…、異世界へ移動する妖精の街…」

「わぁ…!」


「…な?行ってみたいだろ!?俺は大学を卒業したら、それを確かめる旅に出るんだ!」

僕は、
うれしくて、うれしくて…
なんだか涙が出たんだ。



「…おにいさんにだけ、トクベツに僕のタカラモノ見せてあげるっ!」

僕は何かお礼がしたくて、そう言ったんだ。


「…おぉ、宝物か!何だ?」

「あのねっ…」


僕はズボンのポッケをごそごそ探って、


「赤い石」を出したんだ。



「…石…?赤、とは珍しいな…」

お兄さんは、じぃっと僕の手の石を見てそう言っていた。



「…僕、これね。うまれた時から、もってたんだって!」