ハルカは、大きな瞳で俺を見つめたまま…、
静かに涙を流していた。
俺は、
その場から一歩も動かない。
動いてしまったら…、
決意が鈍ってしまう気がしていた。
気が付けば…、
俺たちの周りを青く光る虫たちが、ちらほらと飛び交っていた。
綺麗な…
綺麗な、夜だった。
「…俺を見つけるまで、…探してくれるんだろう?」
「…うん…」
「…また、…きっと逢えるんだろう…?」
俺の問いかけに、
ハルカは少し間を置いて、
「…う…、うんっ!逢えるよ!絶対…」
そう泣きながら、
その涙を袖で拭って、
笑った。
下を向いて…
地面を見つめて泣いていたコンが、翼を羽ばたかせて俺の首元に飛び込んでくる。
『…おれ…、俺、ぜぇったい忘れないからなッ?キースぅうぅ~。』
体当たりにも似た衝撃に、俺はよろめきながらコンを受け止めた。
「――あぁ…!有り難う、コン。ハルカを頼むな?ハルカの言う事はちゃんと聞けよ?」
『わぅん…。おれ、もっと良い子になりゅ…』
俺はコンを強く抱き締めて、笑った。
コンから少し体を離すと、
「…ハルカ…?」
と「最後の抱擁」を求めた。

