記憶 ―夢幻の森―



「また新しいお友達が増えちゃった!嬉しいっ!」

ハルカは興奮してそう笑顔を溢す。


「…ハルカにも、コンにも…これから、もっと友達が増えるさ。」

俺はそう言って、
ハルカの髪を撫でた。


「――うんっ!ありがとう、キース!」

「…あぁ!」


もう…、
「仲間外れ」の理由はないのだから。


ハルカの心からの、
「本当の笑顔」は、

きらきらと輝いていた。


ハルカは、
きっと大丈夫だ…。

前へと…
明るい未来へと歩むだろう。




『…さぁ、そろそろ…』

風がエマの声を運ぶ。

それは、
俺たちの「別れ」を意味していた。

俺は目を伏せて、
静かに誰にも聞こえない様に、大きく息を吐く。


『…ハルカちゃん、コンちゃん。…帰りなさい。この山を下りるのよ。』

俺たちは、光る大地から腰を上げた。


「…うん!じゃあ、帰ろうっ!また来るね、エマ。それからオリぺちゃん!」

ハルカはそう言うと、俺の手を取ろうとする。
これまで通りに…

俺に向けて差し出された手のひらを…、


俺は、その手を…

――…繋げなかった。



「…キース…?」

ハルカが俺の顔を覗き込む。


「……ハルカ?」

「ん?」