金色の髪に、緑色の瞳。
白い砂避けのローブをその身に纏い、

今の俺と…、
同じ様な姿の…、

――アズ…


『…俺を、忘れるのか…?』

悲しそうな表情で、
そう言って俺を見ていた。



――エマが見せている幻だ。

そう分かっているはずなのに、

俺の瞳は、
そこからは動けない。



『…私たちを忘れちゃうの…?嫌だよ、キース…』

――…アイリ…


エマ、
…止めてくれ。


「…やめてくれ、エマ…」

瞳はアイリをとらえたまま、
堪らず、俺は震える声を絞り出した。


砂漠には、もう戻れない。
戻っては、いけない。

そう決めかけていた心が、
大きく揺れる。

目の前が、
…くらくらする。



『…自分だけ、逃げるんだな…。あの二人を、救えなかったくせに…』

…ぁ、あぁ…

黒い髪に、青い瞳。
彼は、そう目を伏せた。


「――…アラン…」


違う、
違うんだ…

俺はお前と交わした約束を、
あの日の「誓い」を…

忘れたわけじゃない…。


俺は、無意識にアランへと手を伸ばしていた。



「――キースッ!どうしたの!?」

朦朧とする意識の中で、
ハルカの声が俺の耳へ届いた。