同じく息を切らせながら、エマが口を開く。


「…大丈夫。それより、御免なさい。結局、私ったら朝まで寝てしまって…」

「いや、いいんだ…」

むしろ…、
寝ていてくれて良かった。

俺は、昨夜のハルカとの出来事をエマに見られていなかった事にほっとしていた。



ワンッ!
『…キースぅ!見て見て~ッ!俺、「赤い石」見つけたーッ!!』

俺たちが必死に足を進めるにもかかわらず、コンだけはいつもより増して元気だった。

赤くキラキラと輝く小石を口にくわえて、嬉しそうに俺の元へ持って来た。

いや…
正確には、
俺の背中に背負われたハルカに持って来たんだろう。


「綺麗な石だね~、コン。」

『だろッ!ハルカにやるぞッ!』

ブンブンと黒い尻尾を振り回し、そう嬉しそうにハルカを見上げた。


「ありがとっ!」

ハルカは、俺の首に絡めていた片手をコンの方へと伸ばす。

コンはパタパタと翼を羽ばたかせ、ハルカの手元まで口を近付けると、その手のひらに小石を落とした。


コンがいつになく元気なのは、
ハルカが目覚めたからだ。


ワンッ!
『俺ッ、もう一回探してくるなーッ!!』